
この記事の要点
- FDIC、2023年破綻3行で「仮想通貨関連預金が急流出」と分析
- 銀行の仮想通貨企業向け審査厳格化につながる可能性も浮上
破綻3行で「仮想通貨関連預金が急流出」
FDIC(米連邦預金保険公社)は2026年5月14日、2023年春に米国で発生した銀行取り付け騒ぎを分析したスタッフ報告書を公表しました。
分析対象となったのは、当時相次いで経営破綻したシリコンバレー銀行・シグネチャー銀行・ファースト・リパブリック銀行の3行で、各行の中核システムから取得した取引データを基に、預金種別ごとの流出挙動が日次ベースで分析されています。
報告書は、仮想通貨(暗号資産)セクターに関連する預金者と、仮想通貨投資企業などの顧客資金を含む「アクティブエスクロー預金(※1)」が、他の預金者より高い確率で資金引き出しに動いたと結論づけています。
※1:仲介企業が顧客資金をまとめて銀行に預ける口座
回帰分析では「デジタル資産セクターに関連していること」が独立した取り付け要因として特定され、シグネチャー銀行ではその影響が大口預金者要因を上回ったと報告されています。
FDIC議長のトラビス・ヒル氏は声明で「規制当局は預金行動についてより精緻な理解を深める必要があると以前から考えてきた。本報告書は米史上最速の銀行取り付けにおける預金フローを詳細に記録するものだ」と述べました。
バイデン政権下の圧力が明らかに
仮想通貨の銀行アクセス制限論に火種再び
シグネチャー銀行で88%流出
報告書によれば、シグネチャー銀行のアクティブエスクロー預金は2023年3月10日から13日の2営業日で83%が流出し、3月17日時点では3月6日比で88%減少したと記録されています。
対象となったアクティブエスクロー預金には、仮想通貨投資を仲介する企業や銀行サービス代行型フィンテック企業が、顧客資金を集約管理する形で預け入れている資金が含まれています。
FDICは、実際の預金者が仲介企業を通じて随時資金を引き出せる仕組みであることから、銀行不安が広がる局面では仲介企業側も短期間で資金引き上げに動きやすいと分析しています。
シグネチャー銀行では同種預金が総預金の13〜15%を占めており、ファースト・リパブリック銀行でも同期間中に52%が流出したと報告されています。
「チョークポイント2.0」論争への影響
米国では2023年の3行破綻後、仮想通貨企業に対する銀行口座閉鎖や新規開設拒否が相次ぎ、業界側は規制当局による事実上の排除措置だとして反発を強めてきました。
こうした動きは「オペレーション・チョークポイント2.0」と呼ばれ、米下院金融サービス委員会も2025年12月、バイデン政権下での規制圧力の存在を認定する報告書を公表しています。
今回のFDIC報告書が「デジタル資産セクター関連預金は不安定だ」と結論づけたことで、銀行側が仮想通貨関連企業との取引制限を正当化する根拠として引用する可能性も意識されています。
一方、ヒル議長自身は仮想通貨業界に比較的協調的な立場を示してきた人物として知られており、今回の分析結果を銀行監督へどの程度反映させるかをめぐっては、当局内でも温度差が残っています。
「チョークポイント2.0」の実態
米制度整備が前進、銀行監督側に慎重論残る
米国では仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」が2026年5月14日に上院銀行委員会で15対9の賛成多数で可決されるなど、業界の事業環境を改善する制度整備が進んでいます。
米国では立法側で制度整備が進む一方、FRBによる仮想通貨カストディ規制の見直しも進行しており、今回のFDIC報告書は銀行監督分野から慎重姿勢を示す内容として受け止められています。
米国では仮想通貨市場の制度整備が進む一方、銀行監督分野ではリスク警戒も続いており、FDIC報告書を銀行側が実務判断へどこまで反映させるのかも、今後の規制対話における論点として浮上しています。
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Source:FDIC報告
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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