
この記事の要点
- QCP、1998年以来の日米円買い協調介入を分析
- 円キャリー巻き戻しでBTCに売り圧力の可能性
日米が円買い協調介入、ビットコインに警戒感
シンガポールの仮想通貨トレーディング会社QCP Capital(キューシーピー・キャピタル)は2026年8月3日、日米による協調的な円買い介入とビットコイン(BTC)相場の関係を分析したマーケットレポートを公表しました。
今回の介入では米財務省の代理人であるニューヨーク連邦準備銀行が金曜日の取引で円を買い入れ、日本の財務省による市場介入と足並みをそろえました。QCPはこの介入を「円を支える目的では1998年以来となる日米の共同オペレーションにあたる」と説明しています。
同社は、日米の協調介入によって円高が進んだ場合、円キャリートレード(低金利の円で資金を調達しリスク資産へ投資する手法)の巻き戻しが起こりやすくなり、ビットコインを含むリスク資産にも売り圧力が及ぶ可能性があるとの見方を示しました。
こうした見解を踏まえQCPは、ドル円相場や日本の資金調達環境、長期の米国債利回りが、ビットコインとイーサリアム(ETH)相場を見極めるうえで新たに注視すべきマクロ指標になったと分析しています。
市場を揺らす円キャリートレード
30年金利5.27%、円介入と重なる異例の局面
金融政策を経ずに動いた円買い介入
QCPは今回の介入をとりわけ異例なものとして扱っており、米財務省の代理人であるニューヨーク連邦準備銀行が、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定会合(FOMC)を経ることなく円を買い入れた点に注目しています。
報告書によると、ニューヨーク連銀はFRBによる独立した金融政策の判断ではなく、米財務省の財政代理人として日本の財務省による市場介入を執行しました。
同社は、このようにFOMCを介さず財務当局が為替市場へ介入した点について、通貨だけでなく市場の流動性や金融環境全体にも影響を及ぼしうる動きだったと分析しています。
30年金利が2007年以来の高水準へ
QCPは円買い介入と並び、米国債の長期金利上昇も重要なマクロ要因として取り上げており、30年国債利回りは金曜日に約5.27%まで上昇し、2007年以来の高水準を記録しました。
その後、30年国債利回りは月曜日に5.24%へやや低下したものの、歴史的にみれば依然として高い水準にあると分析しています。
QCPは、市場が織り込む将来の物価見通しを示すブレークイーブン・インフレ率が7月末時点で2.28%付近にとどまる一方、名目の長期金利はそれ以上に上昇した点へ注目しました。
こうした動きから同社は、実質利回りやタームプレミアム(長期債の保有に求められる上乗せ利回り)、さらには国債発行など複数の要因が長期金利を押し上げているとの見方を示しています。
膨らむ国債発行とAIインフラ起債
QCPは、長期金利を押し上げる背景のひとつとして、米国債の発行増による債券市場の需給悪化を挙げています。
報告書によると、米財務省は7月から9月の四半期に6,710億ドル(約105兆円)の民間向け純市場性借り入れを見込んでいます。
同じ時期には、大手テクノロジー企業によるAIインフラ向け起債も拡大しており、6月下旬までの発行額は約1,700億ドル(約26兆円)へ積み上がりました。
QCPは、これらだけが利回り上昇の主因とはみていないものの、市場が吸収すべきデュレーション(金利変動への感応度)の総量を押し上げる要因になっていると分析しています。
加えて同社は、円買い介入に伴う外貨準備の調整が、日本による米国債の保有動向を通じて債券市場へ波及する可能性にも言及しました。
ただし、円買い介入が直ちに米国債売却を意味するわけではなく、両者の関係を単純に結び付けるべきではないとも付け加えています。
仮想通貨に及ぶ短期と中長期の影響
こうした金利と為替の変化についてQCPは、ビットコインなどの仮想通貨市場には短期と中長期で異なる経路を通じて影響が及ぶと分析しています。
短期的には、円高が急速に進んだ局面では円キャリートレードの巻き戻しが起こりやすくなり、円建てで資金を調達していた投資家がポジションの縮小を迫られる可能性があると説明しました。
その結果、レバレッジ解消に伴う円買い戻しが進み、ビットコインを含むリスク資産全体へ売り圧力が波及しうるとの見方を示しています。
QCPは、このような動きが過去にも確認されているとして、国際決済銀行(BIS)が2024年8月の急落局面でキャリートレードのデレバレッジが下落幅を拡大させた一因と分析した事例を紹介しました。
一方で、日米の金利差は依然として大きく、円高がどこまで続くかは金融政策や追加介入の有無に左右されるとして、2024年8月と同じ展開になるとは断定していません。
中長期では、円相場が安定することで介入の反復が抑えられ、米国債市場の流動性へ加わる圧力も和らぐ可能性があると説明しました。
国債金利と暗号資産相場の関係
為替と金利が動かす仮想通貨の8月相場
QCPはレポートの結びとして、今後は米財務省の借り入れ計画や債務管理の方針に加え、為替介入も世界的な流動性を左右する重要な要素になると指摘しました。
そのため同社は、FRBの金融政策だけでなく、財政や為替をめぐる当局の動向にも目を向ける必要があると強調しました。
今回のレポートでは、ドル円相場や長期金利の動向が、ビットコインをはじめとするリスク資産を取り巻く市場環境を判断するうえで重要な指標として位置付けられています。
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Source:QCP Capitalレポート
サムネイル:AIによる生成画像

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